スズメ (スズメ目ハタオリドリ科) 全長14.5cm 留鳥
日本に住むほとんどの方は、「鳥といえばスズメ」と思うのではないでしょうか。ことわざや童謡・昔話にしばしば登場しますし、家紋にも用いられています。また、植物でも「スズメノエンドウ」や「スズメノカタビラ」などの名前に用いられています。スズメはそれほどまでに身近な鳥です。しかし、キャンパス内ではスズメはさほど数の多い鳥ではありません。学内でバードウォッチングをしていて、シジュウカラを見ない日はなくても、スズメに出会わないことは意外に多くあるのです。なぜでしょうか。その答えは、スズメが我々の生活に深く密着していることにあります。
スズメは人間と一緒に暮らす鳥です。山林を切り開いて造成すると、スズメがそれにともなって山地に進出し、廃村になって住民がいなくなるとスズメも姿を消すといわれています。天敵であるヘビなど近寄りにくい民家に巣をかけ、田畑でエサを採るスズメは、エサも棲み処も人間に依存する傾向が強い鳥だということができます。そのため大学でも、森の奥よりも住宅地と接した部分で見ることが多いのです。
スズメは日本画の世界でも画題としてよく描かれてきました。長澤蘆雪という江戸時代の画家がいます。彼は、写生で有名な円山応挙の弟子ですが、まじめ一徹の師匠とは異なり、かなりユーモアのある人だったようです。彼はスズメを多く描いていますが、中でも正面顔のスズメを好んで描いています。蘆雪のユーモラスなスズメを見ると、彼がスズメをとても好きだったことが良く伝わってきます。
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