これは、平成八年六月四日(火曜日)に、一橋大学国立本館特別応接室においてなされた肖賢富教授の講演の記録である。この講演会の司会は、村井敏邦教授であり、通訳を王雲海専任講師が務めた。聴衆は、後藤昭ゼミ、青木人志ゼミ等十数名であった。そして、この記録は、後藤昭ゼミナールの三年生(当時)小泉格が録取したものである。
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一、はじめに
この講演会のテーマは、「人権保障から中国刑事法の改正を見る」ということである。中国の新刑事訴訟法は、一九九六(平成八)年三月一七日に採択され、一九九七(平成九)年一月一日から施行されることになっている。この間に、細かい点を詰める予定であり、各国を回って調査と広報とをしているところである。
旧刑事訴訟法に比べて新刑事訴訟法には条文の数が多い。旧刑事訴訟法下では一六四条しかなかったものが、新刑事訴訟法では二五一条になっている。
内容面では、次の点が重要である。先ず、犯罪の被訴追者(被疑者・被告人)の権利が伸張した。次に、犯罪の被害者について詳細な規定が設けられた。以下に、分説しよう。
二、犯罪の被訴追者(被疑者・被告人)の権利について
三、犯罪の被害者について
四、まとめ/質疑応答
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