この秋一番の冷えこみ。例年であればイチョウの黄葉が太陽の光を反射してキラキラと輝いている頃だが今年は大学通りもキャンパス内もまだ青々としています。職員集会所の中も寒々とした感じで、暖房を入れ暖かくなったところで、身支度にかかりました。
参加者総数は58名で、内訳は大学の教職員5名、福嶋先生、OB40名、学生12名でした。 晩秋ともなると下草も元気がなくなり、また最近では業者の手入れの頻度もかなりアップしたので、植樹会がボランティア作業を開始した直後と比較すればキャンパス内は見違えるほど環境が整ってきています。
午後1時半過ぎに作業開始。年に一度のお楽しみで昨年11月に引き続いて福嶋先生のご指導で「自然薯堀り」を行うことにしました。また久し振りに東キャンパスにて東本館の北側および東1号館南側の下草刈り(刈込機2台を使用)、ゴミ拾いや不要になって廃棄された立看板の整理をおこないました。参加者の大半の方(約2/3)は自然薯堀を希望、残りの17、8名の方が東キャンパスへ向かいました。
自然薯は寒地を除くわが国各地の山野に自生するつる性の多年草です。古代日本では寒期の貴重な食材でした。平安時代の小野小町も好んで食したといいます。大陸より稲作、穀物や野菜の栽培方法が伝わると食文化の中での比重が低下しました。今では自然の山野に栽培もなされています。ナガイモ等と比較して皮が薄く、皮ごと調理可能です。栄養十分で、「ムチン」(強壮効果あるネバネバ部分)、「アルギニン」(スタミナの元)、「コリン」(体を元気にする)、「アミラ−ゼ」(消化を助ける)が含まれていて、健康に良いそうです。
「自然薯掘り」の場所はかねてより目をつけていた陸上競技場の南東部の「ススキ高原ゾ−ン」より如意団施設・山岳部部室(西キャンパス西南端)へと東西へ伸びる笹道の東側半分。福嶋先生の指示でスコップその他の道具を使用して掘り始めます。固い土をかなり掘り下げなければいけないのでかなりしんどい作業ですが女子学生も積極的に参加しました。自然薯の地上に伸びる蔓の部分についた葉が目印ですが、「オニドコロの葉と紛らわしので注意して下さい。オニドコロの葉はハ−ト型をしているので葉をよく見て識別をお願いします」とのアドバイスが先生よりありました。オニドコロもつる性の多年草で生息地も自然薯とほぼ同じだが、塊茎はなく苦いので食用にはしません。オニドコロの葉は交互にでています。自然薯はハ−ト型を上下に引き延ばしたような形をしており、葉は同じ場所からペア−で左右に伸びています。掘ってもなかなか自然薯にいき当たりません。漸くさがしあてて周りを丹念に掘っても小振りのものだったり、芋の部分の下の土が極端に硬くル−プ状になったものだったりで、苦戦の連続です。今年は不作なのだとの諦めの声が出始めた頃、それなりの自然薯に出会い始めました。丸々としたものやスリムだが長いもの、結局昨年並みの収穫で参加者全員で賞味するには十分な量を採取できました。
当日参加された高原正靖氏(昭42社)の自然薯に関する文章を引用させてもらいます。
「収穫のほどを見せてもらうと、1メートル位の長いものが掘り起こされていた。掘った女性会員が満面の笑みを浮かべて私に誇らしげに見せてくれた。また川村くんも直径7センチくらいの一番太いものを掘ったが途中で切れてしまっていた。忍耐と集中力が足りなかったと反省していた。長いもの、太いもの、短く曲がりくねったもの多種多様ではあるが箱一杯の大収穫であった。国立のキャンパスに天然の無農薬の自然薯が収穫できるとは驚きであった。反省会が始まる前、福島先生より自然薯の生態についての講和があり、自然薯はつるにより葉を伸ばして日光を吸収していること、また寒さから守るため冬場近くになると葉を枯らして身を守っていること、原産地は南方で日本には北限があり、北海道では収穫できないなどご説明いただいた。」
作業後反省会を集会所食堂にて行いました。福島先生の指導で自然薯の調理が始まったため、調理に携わらない人たちだけでビールで乾杯しました。そして待望の「マグロ山かけ」の登場です。粘りが強く、濃厚な味の山かけを賞味することができました。本当に素晴らしい味で感激しました。
(新里記)
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作業前 |
作業後 |
東本館北側 |
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