第四編 再審 再審については、被告人に不利益な再審に関する規定をすべて削除したが、これは應急措置法以來既に効力を失つていたのである。 第五編 非常上告 非常上告については、何等現行法と変るところはない。 第六編 略式手續 略式手続については、二、三憲法違反の意見もあつたが、現在多くの裁判所で実際に行われており、政府も憲法違反でないと考えているので存置することとした。ただ略式命令をなし得る限度を五千円以下の罰金及び科料に限り、且つ、被疑者が異議のない場合にのみ認めることとした(四六一)。更に正式裁判申立権者を、從來は本人のみと解されていたが、一般の上訴権者即ち法定代理人弁護人等にも認めて(四六七)、正式裁判を求め得る途を廣くした。 第七編 裁判の執行 現在の規定に対して重要な変更を加えた点はないが、死刑の執行について、いままでは、判決確定後一定の期間内にその執行をしなければならないというような規定はなかつたが、確定判決を尊重しなければならないという趣旨から一應六箇月の期限を設けることとしたこと(四七五)及び貧困者のため訴訟費用の負担を免除する途を開いたこと(五〇〇)の二点が主な改正である。 私訴 附帯私訴の制度は、これを廃止することとした。附帯私訴も実益のない制度ではないが、一般的にいつて余り利用せられることがなく、又刑事裁判の迅速性に障害ともなり、更に裁判官の專門化の傾向のある今日、民事訴訟はやはり民事訴訟の手続によつて充分審理するのを妥当と考え、廃止することとしたのである。 以上で一應の御説明を終ります。なお、詳細の点は御質問に應じ、又は随時申し上げることといたします。
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