第1章“乗り方”の基本
「自転車の乗り方?そんなの簡単じゃん、またがってこぐだけでしょ?」

…そんなに単純ではありません。誤った自転車の乗り方は、転倒やふらつき運転の原因となり、事故に直結する可能性があります。ここでは、自転車に乗ってから降りるまでの基本動作を確認していきます。あなたは、本当に自転車に乗れているでしょうか。自分の乗り方を思い出しながら、まずは正しい自転車の“乗り方”から再確認していきましょう。

<目次>
A.発進
B.走行
C.停止

A.発進

@ハンドルに手をかけ、自転車の左側に立つ
A後方確認をし、車が来ないか安全を確かめる
Bトップチューブ(自転車のフレーム)をまたぎ、左側のペダルに足をかける

※このとき、直接サドルにまたがってはならない。我々の乗る自転車はママチャリとは異なりサドルが通常よりも高いため、しっかり地面に足がつかず安定を失うためである。

C再度後方確認をする(ここでの後方確認は徹底すること!)
D右足のペダルに体重をかけ、発進。その際、反動で腰をあげサドルに座る
E左足もペダルにのせ、こぎ出す

※発進の際は、軽いギアからこぎ始め、スピードが出てきたら徐々にギアを重くしていくとよい。重いギアのままスタートすると大変なうえ、発進時のふらつきの原因ともなる。チェーンにも余計な負荷がかかるので、止まる前にはあらかじめ軽いギアにしておこう。

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B.走行

@目線(基本)
基本姿勢として、目線は常に前におき前方に広く視野をとる。前方・後方に絶えず注意し、道路状況、自動車や歩行者の有無や彼らの動き、障害物などの情報を正確にとらえるようにする。そして、それらの情報を判断して安全な走行ができるよう、ゆとりをもったスピードで走行すること。
疲れた時やメーターに注意がいっているときは下を向いてしまいがちなので、意識して目線を高く保つように。
走行走行2

※よくある障害物は、ポール、道路と歩道の段差、ガードレール、逆走車など。

※自動車に気をつけた具体的な走行技術は、第4章公道の走り方及び第5章交通状況に応じた走行@に詳しい。あわせてこちらも参照されたい。

A路面への注意
路面にも十分注意を払う。ゴミや散乱したガラスの破片、落石、舗装の隙間、段差などはなるべく早く把握し、極力踏まないようにする。さらに適正な空気圧を維持しておけば、パンクに悩まされることはほとんどなくなる。


Bギアの選択
ギアは走行速度や傾斜に応じてこまめに変える。ギアチェンジのコツは、いつも同じくらいの負荷がかかるようにすることである。速くなったら重く、遅くなったら軽く。とにかくこまめに変える癖をつけよう。
また、少し軽めのギアでこぐと足に疲れがたまらずに済む(足もほっそり引き締まります☆)

C速度
いうまでもなく、スピードの出しすぎは禁物。
不慮の事態が発生しても制御できるような、余裕をもったスピードで。
集団走行をする場合は一番遅い人にペースを合わせる。

Dバランス
自転車はタイヤが回転することによって進行方向に安定するため、上り坂や停車時などゆっくりと走っているときはバランスを崩しやすい。
また、横からの力には案外弱いので転倒しないよう注意が必要である。横風や段差の乗りあげなど。

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C.停止

ブレーキをかける。これが簡単なようで、なかなか難しい。ブレーキは命を守る大切な制御道具であるが、その分きちんとした整備と正しい使い方が重要になる。誤ったブレーキのかけ方をすると、転倒事故につながる恐れもある。
この項ではブレーキのかけ方について詳述する。


@ ブレーキの特性
ブレーキは右が前輪、左が後輪である注1制動力(止める力)は前輪のほうが強く、後輪のほうが弱い(試しに片方だけブレーキをかけて自転車を押してみよう。後輪だけならそのまま押すことができるが、前輪だけなら押すことができない)。

そのため、前輪ブレーキだけをかけると急ブレーキになり、前方に体が投げ出されたり後輪が浮きあがったりして非常に危険である。また、後輪ブレーキはロック注2しやすいため、こちらだけをかけてもスリップして転倒してしまう危険性がある。こうしたブレーキの特性を理解した上で、正しいブレーキのかけ方を徹底しよう。


A ブレーキのかけ方
1.停車するときは、早め早めの減速をこころがける。急ブレーキは追突事故の原因となり、危険。
2.ブレーキは左右同時か、あるいは後ろから先にかける。大体、前6:4後くらいの力でブレーキレバーを握る。このとき、前方に投げ出されるのを防ぐため腰を引いて体の重心を後方へと移動する。
3.タイヤのロックを防ぐため、ブレーキを引く力はじわじわと強くし最後はぎゅっと強く握るようにする。
4.停車するときはサドルに座ったまま地面に足をつくのでなく、サドルから前方に降りてフレームにまたがるようにして地面に左足注3をつく。サドルに座ったままだと足がつかずバランスを取りにくいことは1.発進の項でも述べた。ただし、縁石に左足をかけて停車するのであれば、サドルに座ったままでもよい。
5.停車前の減速する段階で、ギアを徐々に軽くしながら停車するとよい。こうすると、次に発進するときに軽いギアからこぐことができ、スムーズな発進ができる。


※急ブレーキをかける場合
急ブレーキは集団走行時の追突事故の原因となるだけでなく、後輪が浮き上がり前方に投げ出されやすくなるため非常に危険である。なるべく避けるのが賢明である。
やむをえず急ブレーキをかける場合は、極端に体の重心を後ろにずらし(物理的に後輪は浮かなくなる)、ブレーキレバーを一気に強くひく。

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