第4章 公道の走り方

法律上、自転車は「軽車両」という区分であり、自動車やバイク同様車道を走るのが原則となっています。歩道を走ってもいいとされるのは、
@自転車通行可の標識があるとき
A車道又は交通の状況に照らして自転車の通行の安全を確保するため歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき(要は交通量が多かったり狭かったりで車道が危ない時)
のふたつの場合のみであり、飽くまで歩道は例外であることをわきまえる必要があります。
しかし、ひとたび車道に出ると自転車は圧倒的な交通弱者です。何トンという巨体を尻目にして、一体自転車は車道をどのように走行すればよいでしょうか。
詳しい状況に応じたケーススタディは第5章.交通状況に応じた走行(1)第6章.交通状況に応じた走行(2)第七章.道路状況に応じた走行に譲るとして、ここではその基本を押さえておきましょう。

A.原則は車道左端

車道では、自転車は車道の左端を走るのが原則である。
ただし、左端といっても左側に寄りすぎるのは×。その理由は

1. 路肩は斜めになっているうえ、ゴミや砂が吹きだまっており排水溝は段差になっている。パンクや転倒の危険がいっぱいである。
2. 縁石にペダルをひっかけ転倒するおそれがある。
3. 左に寄りすぎていると、車が追い抜く時に、「大丈夫だろう」と思って避けながら追い抜いてくれない。結果的に幅寄せされてしまい、非常に怖い。
4. いざという時や大型車の風圧にあおられた時に、左側にエスケープゾーンを確保しておくため。
5. 左側から歩行者や自動車が飛び出してくることがあるため。
かといって、車道側に出すぎるのもだめ。いうまでもなく、車が追い抜く時に危ないから。ドライバーの気分を苛立たせるのもよくない。

路肩は走らず黒い舗装された部分を走り、左側に1mくらいエスケープゾーンを確保しておくのがちょうどよい走行位置だ。
初心者は車を怖がるあまり左端に寄りがちになるので、先輩を参考にしながら正しい走行位置を覚えるようにすること。広い路側帯があるときは、その中を走ればいいので楽。
路肩


広い路側帯、走りやすい好例。


【目次に戻る】




B.謙虚に、かつ大胆に

@後方確認
常に自動車に抜かれながら走ることになるため、後方の交通状況の確認は常に怠ってはならない。後方確認は、すばやくこまめに行うこと。ただし、後ろを振り返る際にふらふらと車道にはみ出す人もいるので、慣れないうちは無理に振り返るのはかえって危険。また、車の“音”も接近を知らせる重要な情報なので、注意してみよう。

A余裕のある安全走行を
車の立場からすれば、いつふらついてくるかもわからない自転車はさっさと抜いてしまいたいのが心情。自動車が抜こうとしてきたら素直に抜かせることが大切である。さらに、抜き際に幅寄せしてきたり急に左側の施設に入ったりすることも多いので、抜かされたときはこうした事態にも対応できるよう速度を落とし、後退して車間距離をあけること。

【目次に戻る】




C.安全走行の心得

あたりまえだが、交通ルールは遵守すること。一時停止などの標識や信号にはきちんと従うように。「自転車だからいいや」と信号無視するのは論外である。

@車の動きに注意
 車のドライバーのほとんどは自転車のスピードを理解していない。「自転車だからまだ来ないだろう」と目測を誤り、急接近してくることがある。車の後ろ走るときや抜かされた直後は、車間をあけ、車が急な動きをしないか注意。

A車の飛び出しへの対処
 左側の施設や脇道から飛び出してくる車も危険である。こういう車を発見したら、トップの人はドライバーとアイコンタクトをとり、相手がこちらの存在に気付いているか確認すること。アイコンタクトが取れなかったりドライバーの動きが読めない場合は減速や一時停止をし、車が突然飛び出してきても対処できるようにする。
通過するときは、手信号で牽制しつつ一礼するとよい(自転車が数台続いていることに気付かず、一台通しただけで飛び出してくることもある。車間のあけすぎに注意!)。
普段から左に寄りすぎないことも重要。

Bサイクリングロード
 サイクリングロードは自動車がいないので安心して走れるが、正確には公道ではないので暗黙の了解とマナーがある。といってもその原則はただひとつ、歩行者が最優先だということ(歩道の走行と同じ)。
左側通行、スピードはゆっくり(混雑状況にもよるが、時速20km以上は出さないほうがよい)、歩行者を抜かす時は「右側通ります!」などと声をかけ、スピードを落として追い抜かす。道をあけてもらったらきちんとお礼を言う。こうしたマナーはきちんと守って、気持ちよくサイクリングロードを走れるようにしたい。


【目次に戻る】