第2章 集団走行のルール

集団走行には自動車から視認されやすい、危険への情報を共有できる、そしてなにより一人で走るよりもずっと楽しい!といったメリットがあります。一方で、集団走行ならではの危険があることも忘れてはなりません。
安全な集団走行のために一定のルールを共有しておくことは不可欠です。
ここでは、そんな集団走行のルールについて解説していきます。
集団走行時、特に気をつけねばならないことは衝突事故の可能性と死角の発生です。これらは集団走行独特の現象なので、しっかりと念頭においた上で本章を読み進めてください。

A.集団走行のルール

@基本構成
基本的に班は4〜5人で構成される。あまり人数が多すぎると危ないし、自動車も追い抜きにくくなる。8人以上になるようであれば2班に分けて走行しよう。

A長く列になって走らない
走行中に他の班に追いついてしまった場合は、そのままくっついて走らず、少しぺースを落として十分な間があくのを待つか、追い抜くかする。ただし、追い抜きは危険なので、後方に十分な安全確認がとれた場合にのみ行うこと。

B適切な車間距離
本稿執筆にあたって28期と29期を対象にアンケートをとった際、車間距離が短いという指摘が多数寄せられた。車間距離が短すぎるために、
1.急ブレーキに対応しきれない
2.前の人が荷物を落としたときによけきれない
3.障害物を避ける際などの急な進路変更についていけない
4.死角が増す
といったことがよく起こっているようである。
車間距離は自転車1台分(1〜2m)程度あけるのが適正である。あまり車間が広すぎても逆に危険を伴うため、これくらいの車間を維持するようにしよう。

 なお、雨天時や峠道の下りなど、状況に応じてもっと広い車間距離が必要になる場合もある。
 しかし、車間距離をきちんと取っていても、咄嗟のときには反応が間に合わず上に挙げたような事故が起こってしまう可能性がある。車間をあけるだけでなく、以下に挙げていく目線や走行ラインにも注意して走行しよう。

C目線(集団走行時)
第1章-B発進でも走行中の視野については扱ったので、基本はそちらを参照のこと。ここでは、集団走行時に特化した視点の置き方について取り扱う。
集団走行時は視点が低くなりがちである。前の人の後輪や背中を見つめていると視野が非常に狭くなってしまう。これが、ジョイナサーにすごく多い。要注意!!
二人前の人の背中を見るようにすると、ちょうどよい高さの視点を確保できる。視点が低いと車間も狭くなりがちだし周囲の状況把握も遅れることになる。初めは慣れないと思うので、意識して視点を高くするように。

※姫ポジの人も、トップの背中ではなく前方に広く視野をとるようにすること。

D走行ライン
視野を広くするためにもうひとつ。左右に少し互い違いになって走るようにするとよい。こうすることで前方への視界はぐっと開け、急ブレーキ時も衝突事故を回避できる。
道路にはポールや落下物、歩行者など、前方からの危険が予想以上に多い。こうした危険をあらかじめ自分の目で察知することで、前の人の動き(進路変更やブレーキ)も予測することができ、急ブレーキなどや進路変更にも余裕をもって対処することができるようになる。

↑  【イメージ】 
○↑ 交互に少しずつずらして走る。
  ○

  ○

E緊急時は
1.歩行者や車が飛び出してきた!
…等々、やむをえず急ブレーキをかけなければならない場面もある。そんなときは手信号など出している暇はないので、大声で「止まります!!」と叫び後ろに合図する。

2.前の人が急ブレーキをかけた!
そんなとき、自分も急ブレーキをかけては後続車が避けきれず玉突き事故になりかねない。左右に避け、追い抜くようにして止まるのが安全な対処法である。
落車・転倒が発生した場合も同じように対処する。→(図1)
やむをえず急ブレーキをかける場合は、上と同じく大声で後ろに合図する。

3.前輪が前の人の後輪に接触してしまった!
不注意や急な減速でこうなってしまったとき。反射的に干渉したタイヤとは逆側にハンドルをきってしまいがちだが、これは転倒の危険性があるので誤り。むしろぶつかったタイヤの方へハンドルをきり、態勢を保つようにする。→(図2)


急ブレーキ

4.だめだ、落車する!
不測の事態は必ずある。急に段差に乗り上げてしまったとか、突然人が飛び出してきたとか。とっさの事態に対応しきれず転んでしまうかもしれない。でも、もし転ぶとしても必ず左側に転ぶこと。
これはほんとに守って下さい。左側は生垣とか歩道だから死にはしませんが、もし右に転ぶと……そこには車が待っています。絶っっ対に左側に転んで下さい。
あと、手を地面に着くと骨折するので肩や背中から着地するようにすること。このとき、勢いで頭が地面に叩きつけられないように顎をひいて頭を守ることも大切。


F協力して走ろう
「靴ひもがほどけた」「サイドバッグが外れそう」「パンクした」「トイレに行きたい」など、トラブルや用事が出来たときはすぐにトップや上級生に申し出て停車すること。間違っても走りながらサイドバッグを結び直したり、遠慮してそのままにしてしまうのは厳禁。上級生は他の班員にも気を配り、異変に気づいたら積極的に声をかけるようにすること。
また、集団で走る際でも一人ひとりが前方・後方に注意しなければならないが、新入生は不慣れだし、誰にでも見落としはある。お互いに声をかけあって注意を喚起しあいながら安全な走行を心がけよう。

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B.コミュニケーション(手信号)

他の走行者に自分の動きが予測できるよう、きちんと自分の意思表示をし、自分がどんな行動を取るか周囲に知らせることが大切だ。自転車で走りながら会話するのは困難なので、目で確認できる手信号はとても便利である。もし前の人から手信号が回ってきたら、速やかに後にも信号を伝えよう。
ただし、片手運転に危険を感じる場合は、声で仲間に合図したほうが無難である。


@A.停止(減速)
もっとも頻繁に使う手信号。追突事故を防ぐため、ポジションに関係なく全員行うこと。
背中で右手をパーにして後ろに向ける。または、右斜め下に手をのばしてパーにする。左手はブレーキをかけるのに使うので(後輪ブレーキ)、必ず右手で。ブレーキをかけ始めてから手信号を出したのでは遅いので、止まろうと思ったらまずは手信号を出して意思表示すること。
急ブレーキ時は、手信号は出さずに大声で「止まります!!」などと合図する。左手だけでブレーキをかけると後輪がロックしてスリップしてしまうので注意。まだ慣れてない場合や、下り坂・狭くて交通量が多い道路も片手運転は危険なので、無理に手信号は出さず声で後ろに伝えるようにすること。


A左折・右折
左手、または右手で進行方向を示す。トップの人だけでよい。

B歩道に乗り上げる
歩道に乗り上げる時は、左斜め下(歩道のほう)を指差す。同時に声でも知らせたほうがよい。なお、歩道への乗り上げは転倒や歩行者との衝突の恐れがあるので、慎重に行うこと。
→第4章-F歩道の走行を参照。

C障害物を知らせる背中で手をぱたぱたとあおぐようにする。
あまりJOINUSでは浸透していないが、積極的にやるべきだと思う。歩行者、ポール、段差、逆走自転車などなど、道路は障害物でいっぱいだ。自分には見えていても後ろを走る人には死角になっていることが多く、また前の人が急に避けても後ろの人は間に合わない。手信号と声の両方で、早めに合図を回そう。

D自動車への手信号
自転車で走る仲間だけでなく、自動車に対する意思表示としても手信号は有効。
進路変更や路上駐車を追い抜くときなどは、自動車に対してもきちんと意思表示をしてこれから自分がどんな行動を取るかを知らせたい。
手信号の方法は、左折・右折時と同様手で進行方向を示す。自動車に分かるよう大きなアクションをこころがける。トップはもちろんだが、自動車から視認されやすいようテールの人もおこなったほうがよい。

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