交通事故を起こさないためには、車や歩道の歩行者にも気を配り、彼らがどのような動きをするか予測して未然に回避することが大切です(いわゆる、危険予測)。そのためには、車がどのような動きをするのか、どのようなときに事故が起きやすいかを知っておくことが必要です。
「相手が何をしようとしているのか」「相手はどこを見ているのか」「自分の存在に相手は気付いているのか」を意識し、こちらからも存在をアピールすることがポイント。そして、少しでも怪しいなと思ったら「大丈夫だろう」ではなく「危ないかもしれない」と考えること。決して無理はせず先を譲ること。そんなに先を急ぐ必要はなにもありません。
A. 渋滞
渋滞なんか自転車には関係ないぜ!と車の脇をすいすい進むのはいいけれど、色々と危険もひそんでいる。かえって危険も多いことを知っておいて。
@ 無理に進まない!
信号待ちなどで車が渋滞しているとき、左端のスペースが狭いにも関わらず無理やり抜けていくのはやめるように。これを守れない人が多すぎ。そんなんで10mや20m進んで何がしたいのか。
(写真左)のように左端が狭いときは、大人しく自動車の後ろで停車して待つように。(写真右)のようによっぽど広くあいているときだけ、前に進み出てもよい。
(写真左) 渋滞 | (写真右) 先頭車の左折の合図にも注意。 |
A 様々な危険に注意!
車が止まっているので油断しがちだが、渋滞ならではの危険も潜んでいる。
代表的なものを列挙すると、
1.歩行者が横断しようと飛び出してくる
2.左側の施設に入ろうと対向車線から車が右折してくる
3.助手席や後部座席のドアが突然開く
とにかく3は注意。運転者と違い後方確認もせずにいきなりドアを開ける人は多い。車内の動きにも注意を払い、自動車からある程度離れて通過すること。また、渋滞する自動車の死角によって@やAにも気づきにくい。いつでも止まれる速度で走り、こうした危険に対応できるようにする。
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B.交差点の走行
交差点は、交通事故が最も発生しやすい。事故を回避するために、車がどのような動きをするかを知っておくことは非常に大切である。ここでは、交差点における代表的なケーススタディを紹介する。
@信号
1.まず、信号は守る。交差する道路に車が走っていないからといって信号無視をすると信号待ちをしているドライバーに不快感を与えて危険。
2.集団走行をしている場合、後ろの人が渡れなくならないよう余裕をもって停止する。歩行者用信号が点滅しはじめていたらもう止まった方がよい。
3.信号停止の位置は、車道の停止線の手前である。横断歩道を塞いだり、必要以上に前に出たりしてはならない。
良くない停止位置の例@ | 良くない停止位置の例A |
4.信号待ちの自動車がいるときは、第4章-E 渋滞に書かれているとおり、車の横を無理やり通り抜けて前に出ようせず、車の後ろについて待つこと。
5.発進する際、大型車が後ろにいる場合は手信号で合図して先に行かせてからにする。
A左折車の注意
車には内輪差があるため、左折する車の横を走っていると後輪に巻き込まれてしまう。車がウィンカーを出したら車の後方にまで下がり巻き込まれないようにし、車を先に左折させること。 車の真横はドライバーからは死角になりこちらの存在に気付かないことがある。左折する直前までウィンカーを出さない車も多いので、交差点前や車が左に入る可能性がある場所(左手の駐車場など)は車とは並走しないようにすること。車間をあけずすぐ後ろを走るのも同様に危険。また、前を走る車が突然左折した場合、減速や一時停止をしてぶつからないようにする。
B右折車の注意
自転車が車と並走していたりすぐ後ろを走っているときや、前の車が右左折しようとしているときは、車がかげになって対向車にはこちらの存在が見えない。こちらに気付かないまま突っ込んでくると、衝突事故を起こしてしまう。交差点に入るときは、
1.並走車の死角に入らない
2.対向車が右折してきたときに備え、減速して交差点に入るといった対策をとる。
直進するときに対抗から車が突っ込んできそうなら、トップの人は手信号で牽制しながら通過すること。
C左折専用レーン
左折専用レーンのある交差点を直進するときは、交差点に近づいたら後続の左折車が追い抜かないように右手をのばして意思表示し、テールの人は後続車を塞ぐように車道側に出て安全ゾーンを確保する。同時に右後方の車にも注意。
信号待ちする場合も、後続の車両が抜かしてこないようにテールの人は道路側に出て待つ。このとき、ドライバーにアイコンタクトをとり自分たちが先に直進する意思を示しておく。
DT字型交差点
T字型交差点を直進する場合でも、信号は守らなければならない。
横断歩道を渡る歩行者を危険にさらすのは厳禁。
EY字型交差点
Y字の左方向に進むときはそのまま進んでよいが、右方向に進むときは車線変更が必要になる。後方確認をした後、トップ・テールの人は右側に進むことを手信号で示し、左方向に進む後続車をさえぎるかたちで道路の真ん中に寄り、右側の車線へと入る。ただし、大きいY字路で下図のように横断歩道がある場合は、一時停止して横断歩道を渡る。
F交差する道路が細く、信号もない交差点
脇道から車が出てくるときは、ドライバーが左右の安全確認をできる位置まで車の鼻先をそろそろと出してくる。
トップの人は飛び出してくる車がいないかに注意を払い、状況がわからない場合は減速して様子をうかがう。トップはドライバーとアイコンタクトをとり、こちらの存在に気付いていないようであれば、飛び出してくる可能性が高いので無理せず一時停止する。以下、通過時の注意などは第3章.公道の走り方を参照。
※ ほぼ既出の内容をあえて繰り返しとりあげたのは、筆者が1年生のときこのパターンで交通事故に遭っているからである。ドライバーはこちらの存在に気付いていたにも関わらず、「自転車だからまだ来ないだろう」と飛び出してきたのである。突然のことに急ブレーキも間に合わず、交通量の多い道だったので右側によけることもできず、そのまま車につっこんでしまった。このとき筆者は優先道路を走っていたのでドライバーが一方的に悪いのだが、痛い思いをするのは生身の自転車である。自らの命を守るために、くれぐれも気をつけてほしい。
G車線合流
国道などの広い道路や走っているときや陸橋の終わりでは、左側から車線が合流してくることがある。この場合は左後方の安全を確認し、後続車がいなければ手信号を出しながら合流する道路の左端へと移動する。後続車がいる場合は必ず一時停止して左端に寄れるタイミングを待つ(図の斜線部のように停車できるスペースがあることが多い)。
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C. 歩道の走行
自転車対歩行者の接触事故は、ここ10年で4.5倍に増えているそうである。繰り返しになるが、自転車は車道を走るのが大原則だ。
では、自転車が歩道を走っていいのはどのような場合か覚えているだろうか?
忘れた人は第4章.公道の走り方の序文を読んでおくように。
歩道では歩行者と接触する危険性があり非常に危険。車道が危ないときはもちろん歩道を走ってよいが、歩道の走行はあくまで例外であり、自転車は「歩道を走らせてもらっている」のだと謙虚になろう。
@どんなとき歩道を走ればいいの?
自転車通行可の標識の有無にかかわらず、基本的には車道のほうが楽だし安全。
歩道を走っていいのは、“車道又は交通の状況に照らして自転車の通行の安全を確保するため歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき”であり、具体的には車道が狭い、片側一車線、大型車が多い、バイパス、雨で視界が悪い、班員の疲労が強い、などの場合である。状況に応じて上級生が判断すること。
A歩行者最優先!!
車道では交通弱者の自転車も、歩道では交通強者と化す。そのため、歩行者の保護を最優先にすることが、自転車が歩道を走るための最低限の義務だろう。
歩道が狭かったり歩行者が多い場合には、必ず徐行か一時停止。あまりに混んでたら迷わず自転車を降りて押すこと。歩行者を抜かす場合は速度を落とし、むやみにベルを鳴らさず「すみませーん!」などと声をかけて道をあけてもらうのが礼儀。道をあけてもらったらお礼の言葉も忘れず に。犬や子供は飛び出すことがあるので、距離を多めにとって通過する。
B走行位置
歩道の中でも、車道寄りを走る。歩行者がいる場合は道を譲る。
C速度
歩行者がいないからといって歩道も平気で飛ばす人がいるが、これは論外。
いつ建物や交差点から人が飛び出してくるかわからないので、ゆっくりと走ること。
また、舗装が崩れていたり車の出入り口が斜めになっていたりで、歩道の路面状況は決して良くないので、転倒を防ぐためにもスピードを出してはならない。
D歩道への出入り
これは、学年を問わずできてない人が本っっっっ当多い。自分はセーフティだって思ってる人も今一度読み返すように。まずは“入り”から。
1.歩道へ入るとき
まず減速をし、歩行者の妨げにならないことを確かめてから、段差に対して前輪が垂直に入るようにする。斜めに乗り上げようとするとタイヤと段差が干渉し、必ず転倒します。また、段差を乗り上げるときは腰を少し浮かすと転びにくい。トップの人は手信号も忘れずに。
駄目なパターン。平行に入ると転倒しやすい。 | これくらいの角度をつけて。 |
2.歩道から出るとき
必ず一時停止をして後方に自動車が来ないことを確かめてから、車道に出る。後方確認はトップだけでなくそれぞれが車道に出る前に行い、車が近づいていたら止まってやりすごしてから車道に出ること。 また、トップの人は班員全員が出る余裕があるタイミングを見計らって車道に出るようにするに。車への手信号も出しておいたほうがよい。
Eその他注意点
歩道は、植木などで車道から死角になることが多い。交差点で急に自動車が左折してきたり、施設に入ろうと乗り上げてくる車がないかにも注意しておこう。
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