第3章 各走行ポジションの役割

基本的な走行技術に加え、集団走行では各走行ポジションの特性と役割を理解しておく必要があります。上級生になるにつれ、トップやテールを走る機会はおのずと増えてきます。本項では、ポジションごとにそれぞれの主な役割を列挙しました。
経験を通じて学ぶことも多いため、ここに掲載できる内容には限りがあります。実際にトップやテールを経験しながら、スキルを身につけていってください。

A.トップ(先頭走者)

@ 道案内
地図を見て道を把握し、班員を導くこと。走行中に道が分からなくなり地図を確認したい時は、一時停止して安全な場所に移動してからにする。
青看板の情報も、進む方角や残りの走行距離が分かるので積極的に活用しよう。

A 道路状況の把握と伝達
信号停止、障害物などはなるべく早く察知して、手信号などを用いて後続の班員に伝える。このとき大切なのは、「後ろに3〜4台の自転車が続いていること、後ろの人にとっては自分の体で前方が死角になっていること」を意識して、早めのアクションをとることである。自分は青信号で通過できても、テールの人が通る時には赤信号になっているかもしれない。何事も余裕をもって!

B 進路変更
進路変更や路上駐車の追い抜きなど、走行ラインを変えるときは、手信号で周囲に意思表示をするとともに、必ず後方の安全確認をしてから行うようにする。このとき、テールの人とも連携して班員への情報伝達や後続車を牽制することも忘れずに。
路駐車の回避については第6章-A.路上駐車の回避も参照。

C ペース配分・休憩
ときどき振り返って、後ろに人がちゃんとついてきているか確認する。班員(特に姫ポジ)の体調や疲れ具合を把握し、全員が無理なく走れるペースをつくること。
視野が狭くなるのでメーターは注視しないように。
走る距離が長い場合は、休憩を取るようにする。一時間に一回程度が目安だが、班員の希望や体調に応じて適宜対応すればよい。休憩は長すぎてもかえって疲れてしまうので、5〜10分程度にとどめよう。

Dその他
離れた後続を待つ、水分補給をする、地図を確認する、など停まってなにかをする場合は、歩道などの広く安全なところに入って停まるようにすること。

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B.中間走行者

@ 基本に忠実に
走行中に眠くなって危険な思いをした、という話をよく聞くが、これは大抵中間を走っているときだろう。トップやテールを務めていて眠くなる人はまずいない。
しかし、トップやテールでないからといって、ぼーっとしたり安易な気持ちで走ってはいけない。少しひねくれた見方だが、中間走行者は一番死角の大きい危険なポジションともいえるのだ。常にまわりに注意をはらうことは、事故を防ぐための基本中の基本である。前方後方の安全確認や青看板を見るなど、真ん中を走っていてもただついていくのではなく自分から状況把握に努めることが大切である。

A 姫ポジ
前から二番目の走者のこと。ペースや体調をトップの人に把握してもらえるので、
走行経験の少ない人や、体力のない人が姫ポジを走るのが通例。

B 信号の伝達
前から手信号が回ってきたら速やかに後ろに回す。また、テールの人から「大型〜!」と注意されたら、自分も声に出して前の人に注意を促すこと。

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C.テール(最後尾)

班員全員の安全に関わる最も重要なポジションであり、また最も危険なポジションでもある。走行経験の豊富な上級生が務めるようにしてください。


@ 班員の安全確保
基本的に、テールの人は前の人よりも自転車1台分車道寄りを走り、安全ゾーンをつくっておく。前方の車道が狭くなっている場合や左折レーンを走る場合など、状況に応じて安全ゾーンを確保する。
ただし、必要以上に車道に出るのはダメです。


A 路駐車の回避
路駐車や道路工事を避けるときは、早めに車道側に出て安全ゾーンを広くとっておく。
このとき、必ず後方を見て後続車がいないか確認、後続車がいる場合は手信号を用いて自分たちが車道側に出ることを意思表示しつつ、車を牽制して安全ゾーンを確保する。安全ゾーンの確保が困難な場合は、無理して行こうとせず交通が途絶えてから路駐車を避けるようにし、トップの人に停まって待つよう指示をする。 後方確認もせずにいきなり車道側に飛び出す人がいるが、非常に危険。テールは車道に出ればいいってものではないのだ。
路駐車の回避については第6章-A.路上駐車の回避も参照。

B 後方の安全確認
こまめに後ろを振り返り、状況を確認する。大型車が接近してきたら、「大型〜!」などと叫んで注意を促す。

C 手信号の確認
前から手信号が回ってきたら「はい!」と声を出して手信号が伝わったことをトップに伝える。

D 班員の状況把握、トップへの指示
テールは少し車道寄りを走っているので、班員全員の様子を確認することができる。中間走行者が遅れ気味の場合や荷物が落ちるなどのトラブルが発生した場合は、大きな声でトップに伝える。

E 後続車への意思表示
路駐車の追い越し以外でも、車線変更をするときや信号で直進するときなど、後続車に対してどのような動きをするか手信号で合図をする。
手信号については第2章-B.手信号を参照。

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