十二月クラブ通信は「全会員の親睦と融和をより一層促進するために」発行する機関紙で、創刊号は昭和40年(1965年)1月B4版2頁であった。
本部、支部の活動を知らせる一方、会員の意見具陳あり、又、各種同好会並に家族親睦会・旅行の様子の報道ありで極めて多彩である。
最近号は平成13年(2001年)4月発行の第107号で、これまでの総頁数は1664頁に及び、なお今後とも続刊される。
本年は卒業60周年に当るので、記念月の12月に第108号及109号の合併号を発行する編集作業が進められている。
「人間は考える蘆である」と古人が言った。さすれば我々「十二月クラブ」は蘆の集団であり、その機関紙は蘆の草原である。この草原はただの無味乾燥なものでなく、春風秋月に遭って大きく波打ち、皓々たる輝きを放ち、夏雨に涙し、冬霜には凛然たる横顔を見せるのである。
いま全容を展開するスペースがないので、その一部を順次披露する。(関心と興味のある方はこれまでの全巻が蔵置されている如水会館・東京都千代田区一ツ橋・の司書室を訪ねられたい)
最近の第100号(平成10年・1998年・12月・A4版29頁)特集「21世紀への展望」の要約である。
『21世紀を迎えるに当って』 (深谷 光茂)
政治と経済の安定と強化を望みたい。
環境問題と教育問題に言及。
『私の最近の心境』 (筑紫 五郎)
私達の時代は思索的、観念的で物事の根本、本質を探究する教育でしたが、今の人達は現実的、行動的、流動的のようです。
自由思想、人権思想が次第に発達し、倫理的観念はうすれ、問題が多々あるように思われます。我々の時代の人格主義の考え方は消されて行きそうです。
『21世紀を前にしての所懐』 (貞廣 達次郎)
日本の進路の先頭に立つ政治家を始めとして将来の日本を背負う学生達にも哲学が無く、国を愛する気持が見当らないのはどうしてでしょうか。
物質にのみ心が奪われ、自己中心の日常生活に追われている国民の将来が心配です。
日本教育の荒廃を招いた一部団体の存在する限り容易には解決できるものではないので、成年の健全な育成に手をつける他ないでしょう。
『21世紀への展望』 (坂田 春子・準)
21世紀を生きる若人達はどんどん外国へ行って視野を広げ、国際人としてグローバル・マインドを持って美しく平和な地球を守って欲しい。
『Camera&Canada ― 100Years from Now』
(張漢卿―トロント)
科学技術が飛躍的に進歩したことも、そのまま“たのしさ”の拡大には繋らない。
百年後の人達は、今の我々より楽しく生きることであろうか。その頃にも息子達が親爺達をいためるという“旧社会”の習はしが残っているのであろうか。
『閑人の戯言(21世紀への提言)』 (大野 晴里)
1.修身的なものへの願い
政官財ともにモラルの影の薄さを痛感します。決断力や判断力を養う教育がほしい。
2.漢字の大制限あるいは廃止。
3.パスポートのこと。
日本人の英字サインはどうなるか。
『21世紀への心構え』 (松田 道子・準)
耳にしたくない事柄が多くありますが、真正面で受け止め見据えて行くべきなのでしょう。
『似非哲学者の21世紀の展望』 (兼子 春三)
1.20世紀からの方向づけ
20世紀において対立していたイデオロギーは、マルクス・レーニン主義の退潮によって「自由主義民主制」になって来たように見えます。ただし宗教的対立と民族対立は根強いものがあります。
2.21世紀はどうなるか。
3.21世紀初頭の科学技術の発達と地球社会人間の変化。
『ゼロの展望』 (片柳 梁太郎)
「危機」の克服に成功して成長を再開する国と、それに失敗して落伍する国との二極化が進むのではなからうか。
『見えざる手 ― 21世紀を憶う』 (沢登 源治)
21世紀は「遺伝子組換え」が第3の産業革命をもたらすfactorではないかと想像する。
人間が人間同士のみならず、自然や動植物との共生共存を計る努力を続けて行くであらうが、所詮はアダム・スミスの謂う人智を超えた「見えざる手」に導かれて安定と不安定、平和と戦争との循環、波動を繰り返しながら次の世代へと移行するのではないだろうか。
『花の匂う21世紀を』 (越湖 美江子)
天気の良い日には庭の手入をして、道行く人達に楽しんで貰っています。いつまでも今の状態が保てますよう頑張って生きます。
続いて第101号
『21世紀への展望』 (折下 章)
1.クローン人間について
倫理的に許されない。
2.化学工業の製造について
アモルファス半導体の効率向上
バイオテクノロジーの成功成果によって増大する世界の人口の食糧確保に貢献すること。
3.日本の田園都市美の温存について
4.アフリカ暗黒大陸について
アフリカ人の為のアフリカという考え方を失っては問題解決は望めない。
5.輪廻
『追想・片々の記』 (村上 弥寿夫)
戦後、歴代内閣が理念と看做し、体制と看て来た経済が泡抹化するに至った責任の根源は失政であり、その責任が反省され問われるべきだが誰もそのことに触れようとしない。
『21世紀に望む課題』 (野田 勝哉)
政治、行政、教育、マスコミにたづさわる人々はもとより、国民一人々々が、今の日本は他の一流国と何がどう違うかを認識して、勇気に満ち、誇りの高い国民となって、日本を一流国に高めてもらいたい。
『どうする?21世紀』 (小柴 順子・準)
物と偏差値だけで価値判断する若者たちが親となり、フワフワとした訳のわからない子どもたちが増え、倫理感、価値感、儒教思想などは死に絶えて・・・・どうして日本はこんなになってしまったのか?
『発想法を変えて21世紀対策を』 (和田 一雄)
日本は幾つもの大きな難問を抱えて、政府自体が21世紀への展望をどう考えているのか。一体どんな発想法で展望して呉れるのか。
『21世紀を前にして』 (河本 博介)
日本の政、官、財の無慙な現状を見、将来的課題に思いをいたす時、安易にバラ色の未来を予想するだけではすまされない。
人間の叡知と強靱な精神力が望まれる。
問題解決への強い決意と賢明な実践への踏み出しがあって明るい未来を信ずることを得よう。
『世紀にまたがる課題の焦点』 (橋本 八十彦)
○民族間、宗教間の対立、これに基く紛争
○貧困国の存在
○食糧問題
○医療の問題
○地球の環境の汚染、自然保護
○宇宙、海洋の開発
○通貨制度
『21世紀への展望』 (岡部 寿郎)
21世紀の展望の中の重要な要となる科学・技術の進歩・発展には大きな期待を寄せる一人ではあるが、その動向は宇宙の理法に正しく副はねばならぬことを心に銘じてもらいたい。
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